手紙


夏休み中の満員電車はつまらぬ。制服を着てない女子高生なんか未完成の塊だから好きじゃない。だから邪魔でしかない。あっちいけ。ていうかお前らあっちいけって目で俺を見るんじゃねぇ。傷ついちゃうだろうが。かわいそうだろうが。

夏と言えば暑中見舞い。もう皆さん書かれましたか?

手紙とは、自分の意志を相手に伝えるツールとして、言葉と同じくらい素晴らしい物だと思う。

今は文明が発達しまくってるお陰でメールとかで手軽に意思の疏通がはかれるが、今のこの日本内でも自由に携帯やパソコンがいじくれず、場合によっては長期に渡りその状態に縛られてしまう場所があるのだ。

プリズンブレイク万歳。

病気や怪我とかすると今まで出来てた事が満足に出来なくなりとても悔しい目に合うのだが、お巡りさんにとっ捕まると大体五体満足なのに今まで出来てた事が満足に出来なってしまう。
この世には冤罪というもんがあるんだが、これでぶちこまれるのはまぁなかなかない。

この時期多いのは酔っぱらって起きたら留置場にいましたというケース。大体記憶はないだろう。

酔ってその辺で寝ちゃってどうしようもないから保護されました、というなら酔いが醒めたらちょいと怒られて無罪放免となるんだが、もし酔って暴れちまってたらそう簡単に事は運ばない。
相手が民間人で、被害届も出てなければいいのだが、お巡りさん相手にちょっとでも手を出したらもう大変だ。パトカーやバイクを蹴ったりしただけで、どこからともなくわらわらとお巡りさんがわいてくる。一人に対して物量で攻めてくる様は、まるで新撰組みたいだ。悪、即、タイーホ。

まぁお巡りさん相手なら傷害や器物破損や公務執行妨害は付くけど、逮捕後48時間以内に検察に身柄を渡され、そこでうん十万円の罰金払って帰れる。

が、ちょっと大事にしちまって起訴されちまうと、保釈金が払えりゃ別だが、二ヶ月位から裁判が終わるまでは捕らわれの身となってしまうのだ。裁判が終わって執行猶予、もしくは無罪となればそこで終いだが、有罪、実刑となった場合は刑務所へと行く事になる。

刑務所に行かずにすんでも、二ヶ月以上も裟婆から離れてしまうと、とりあえず普通の仕事はもう駄目だ。戻るのは難しい。

「全く、なぁにやってんだ(笑)」

で済ませてくれる経営者も結構いるが、そういうとこは大体学歴関係ない職場で、学歴社会で色々積み重ねて頑張ってきた戦士はここで残念ながら戦死する。お疲れ様でした。学歴なんぞ簡単に吹き飛ぶのだよ。一生後悔する酒となるだろう。

いかなる理由だろうが、今捕まって警察にいます。という状態になると、社会的信頼は地に落ちる。友達も離れていく。出た後もあいつは前科持ちだ、と後ろ指を指される。人間てのは自分よりも少しでも落ち度がある人間には残酷になれる生き物なのだ。

それでも自分の周りに残ってくれるのが、自分にとって本当に大切な人なのだ。

まぁなんで俺がこんだけ詳しいかと言うと、俺は120日ほどとっ捕まっていた事があるのだ。おおいに偏見を持って戴いて結構。別に自分に恥じた行為をした覚えはないし、恥ずかしい事なら隠すしね。
仕事に行って、家に帰ってきたのは4ヶ月後でした(笑)
夏が終わってたよ。

これは話すと本書ける位長くなるし、今は笑い話にできるからもう今更ここで書こうとも思わない。知ってる人は知ってるしね。日本の法律ってのは曲げようによってはある程度の事は有罪になってしまうという事を覚えた。仕事に使うわけでもないのに、車の中に長いドライバーを入れとくのはやめましょう。自分の車を人の敷地内(マンションの駐車場)に停めるのは不法侵入となるそうですからやめましょう。まだあるが、実に馬鹿馬鹿しい。

で、話を戻すが、留置されると接見禁止という制限を受けていなければ平日は1日1回だけ面会が許される。
時間は場所によって違うが、五分から二十五分だ。弁護士との面会は制限がない。

外との連絡手段は面会と手紙しかないのだ。

刑務所に行くまでには留置場、拘置所(こうちしょ)と段階を経て行くのだが、拘置所では仕事が貰える。まぁ内職程度の仕事なんだが、それでもあるのとないのとでは大層違うのだ。しかし留置場にはやるべき事がない。
面会に来てくれる人が差し入れで入れてくれる本と、1日1回回ってくる新聞と、留置場で貸し出してくれる本を読むこと以外は、手紙を書くこと位しかやることがないのだ。

朝、希望者に辞書とボールペンが渡される。便箋やノートは自分で買うか差し入れて貰わないといけない。夕方までボールペンは自由に使っていいからノートには何を書いててもいい。俺は中で友達になった、何やって入って来たか全くわからない、まるっきり日本語がわからない中国人と仲良くなる為に中国語を勉強した。そして覚えた中国語でなんで捕まったかを聞いて後悔。おい、部屋変えてくれ。
俺は毎日毎日ハニーや友達に手紙を書いた。

久しぶりに手紙を書くと漢字が全く書けない。辞書ってこんなに便利なんだなぁと実感する。
相手から返事がくる事がこんなにも嬉しい事なんだというのは知らなかった。機械の字じゃない、肉筆で書かれた文章がこんなにも暖かいものだとは思わなかった。

捕まってしまい、周りに迷惑かけた事はとても申し訳ないが、俺が中で得たものは大きかった。

メールは確かに便利だけど、手紙にはやっぱ勝てないよ。暑中見舞いや年賀状というきっかけがないと、今はなかなか手紙など書かない。メールにより、便利にはなったが…それとやはり手紙はあとあと残る。それも手紙の良さの一つだと思う。



昔家に帰ると、玄関前に俺がベランダで育ててたミニトマトと、俺の荷物が全部並べてあって、鍵を変えたんであろう新しいドアノブにかかってた

出ていって下さい。

と肉筆で書かれていた置き手紙はさすがに堪えたなぁ。あれはメールにして欲しかった。


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