手術




「しかし、どうも要領を得ないんですよ。状況がおかしいんです。」

「…と、言われますと?」

事件の概要はこうだ。

今朝、ある会社の寮で段ボールの中から身元不明の女の遺体が見つかった。

その段ボールは何日か前に入社した男が、自分の荷物ですと言って置いていった段ボールだった。男はその段ボールを置いてすぐ姿を消した。

会社側は荷物を置いてすぐ居なくなった事を不審に思ったが、勝手に荷物を開ける訳にもいかず彼からの連絡を待っていた。
すると箱から腐敗臭が…。恐る恐る箱を開けたら、そこには最悪の結末が待っていた。
ガリガリに痩せた、皮膚のただれた女の子の全裸の遺体がそこにあったのだ。

家出人からすぐに身元は判明。交友関係から直前まで居た家も判明。そこは幼なじみのS名義で借りているうちの店の寮だった。

不動産屋から店の場所を割りだし、店に行くとそこには何も知らないSが、

「いらっしゃいませ。」

いらっしゃいませじゃねぇよ(笑)

刑事
「Sっていう従業員はいるか?」


「じ、自分です。」

刑事
「お前今日どっから出勤した?」

寮は女の子の為に借りた寮だから、Sは一度も泊まった事すらなかった。ずっと店の個室で一年以上も住んでいたのだが、Sの住民登録はその寮ということにしていた。
店に迷惑を掛けてはいけない!と、珍しくSは気を使い、刑事の質問に勢いよくこう答えた。


「(寮の名前)です!」

刑事
「確保ぉぉぉ!」

珍しく気を使った為に屈強な捜査一課の刑事数人に身柄を確保され、Sは殺人事件の容疑者として逮捕されてしまった。慣れない事はするもんじゃない。

店にいた従業員も全員参考人として連れていかれた。

ご存知の通りSは非常に権力に弱い男だから、警察では非常に素直に色々ゲロった。言わなくてもいい事までとても素直にゲロった。

で、裏を取りにわざわざ県外の俺がいる病院までいらっしゃった訳だ。

とりあえずSは関係ないということを刑事に伝え、その寮に住んでいた従業員の女の子の事を話した。

その従業員は5日程前、

妊娠してしまいました。

というメールをよこしてきた。因みに後に出た被害者の女の子の死亡推定日時はその日だった。
以降彼女とのメール。

産むのか?

はい。一度堕ろしてるから今度は産みたい。

そうか。じゃあお店は早いとこ辞めないとなぁ。

今日店長に話してみます。

そして3日前。

今日で寮を出ていくことにしました。

そうかー。早かったなぁ。まぁ仕方ないか。今回は堕ろさなくてすむようにすんだぞ。たまには連絡よこせー。

はい。ありがとうございます。

とまぁこんな感じのやり取りだったんだが、話が全く違う。

その日はすぐに刑事は帰り、眠気がぶっ飛んだ体を睡眠薬でなんとか眠りにつかせて、次の日の朝オーナーや従業員と連絡を取った。

まぁ手術どころじゃないんだが、やらないわけにもいかねーから産まれて初めての全身麻酔を経験。
ありゃあ臨死体験に近いもんがあるんじゃねぇかなぁ。

まず手術着に着替える。スースーするはだけやすい服だ。女の子が着たらさぞかしセクシャルだろうな。
そのあと肩にやたらとでかい注射をブスリ。なんでも麻酔が効きやすくする注射らしい。結構痛い。

でストレッチャーに乗っけられて、皆さん行って参ります。と同室の皆に挨拶してオペ室へGO!がん病棟と違ってここの整形外科の入院患者は死にそうな人とか居ないからそりゃもうみんな明るい。ここは楽しかった。
で、オペ室に着いたら背中に麻酔射たれて、マスクされて数数えさせられてる間にポックリ。



次起きたら先生とナースと不細工な嫁が居た。先生に手術は成功したから、と言われまたポックリ。




次起きたら夜だった。昼過ぎからの手術だったから意識戻るまで結構時間かかったなぁ。なんだか体は思いし、ちょっと鈍痛するし、ていうか動けないしで夢と現実を行ったり来たりしながら朝を迎える。ティムティムに違和感を感じたから調べたらいつの間にか導尿カテーテルを装備していた。そういやぁ術中はずっとフルティムだったんだよなぁと赤面。

朝になり朝メシの為にベッドを起こして貰い、少しずつ食べようとしたらまだ背中に入ってるチューブがずれた。

いてぇ。すげぇいてぇ。

しかし声がでない。ベッドを起こしたせいで、ナースコールまで手が届かない。

おまけに余りの痛さに貧血を起こした。

や、ヤバイ。は、はらへった。




ポックリ。



朝飯を前に気を失ってしまった。


次起きたらナースが沢山居た。大騒ぎだ。

なんとか背中の事を伝え、ベッドを戻して貰って一番可愛いナースにご飯を食べさせて貰った。いや、惚れたね。だいぶ惚れた。
まさか後々その人にティムティムにぶっ刺さったカテーテル引っこ抜かれる事になるとは夢にも思わない。

午後になりだいぶ体調も戻ってきたが、それに伴い麻酔や痛み止めの効き目も薄らいできたからいてぇいてぇ。

悶絶してるとこに刑事登場。
うん、忘れてた。

幼なじみのSは釈放されたそうだ。良かった良かった。

そして、事件の詳細を教えて貰った。


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