スーパーサラリーマン


窓際部署ってあるじゃないですか。

でも実際は部署毎窓際なとこはあんまなくて、各部署内に窓際ポジションっていうのがあるんですよ。

で、俺の出向先にも残念な奴がいるんです。

齢41歳の、英語もペラペラな明るい人なんですが、とにかく身の回りがだらしない。鉄道マニアで無論女っ気など皆無。




うちの会社の本社の地下に、凄いボロいエレベーターでしか行けないおばけでも出そうな倉庫があって、彼は今まで積み重ねてきた失態により、何年間もそこの倉庫番をしていました。

彼は明らかに周りと違う仕事を特に嫌がることもなくこなしていました。

しかし、今回の移転で、その倉庫を違う部署も使うことになったので、どの位スペースがあるか、不要なものはないかと一週間ほど前に課長と二人で見に行ったんですよ。

乗ると大人二人でいっぱいいっぱいの三菱製エレベーター。
何故か緑色の薄暗い電灯。
動くとキャラキャラと鎖の音が聞こえます。帰りたい。

エレベーターから倉庫に降りると、天井までが近い。多分二メートルありません。

無数にある棚は今まで会社で使った備品で埋まっています。

なんだかかすかに
カタン…タン…

という不気味な音がします。

殆ど明かりもないその倉庫の奥に進むと、明かりが漏れている小部屋がありました。

「○○さん。」

と呼び掛けると、

「は、はいっ!」

と彼が小部屋から飛び出してきました。
びっくりするくらい挙動不審です。

課長がここにきた理由を告げ、中に入ろうとすると、

「明日までにはきれいに整頓しておきます。」

と言って入り口から動かない。

「いや、俺も暇じゃないんで、明日もこんなとこまで来るわけには行かないんですよ。」

と言っても動かない。

課長がイラついて、

「どけやお前。何隠しとんねん。」

と無理矢理入りました。

課長が、

「MASTER、カメラ。」

って言うので、持ってきたカメラを渡します。

10枚位取り終えた後、課長が彼を連れて出ていきました。

で、謎の部屋に入ってみると…


明らかにここで生活している感MAX。

備品はどかされており、Nゲージやらなんやらが飾られていて、線路もしいてあり、のどかにSLが走っておりました。

えぇ、SLですよSL。

こんな奴いんのか。マンガじゃねぇか。





昨日彼に辞令が下りましたので渡しに行きました。

俺を見つけた彼はヒョコヒョコ歩いてきて、
「あんくらいの事で、人格否定される位怒られたよー」

と逆ぎれしてました。

彼のうしろに課長が立ってるのも知らずに。





彼の新しい仕事は、新ビルの小部屋で営業が毎日入れ替わり立ち替わり持っていったり返しにきたりするサンプルを整理する仕事です。整理、梱包、発送を延々と繰り返すお仕事です。



定年まであと20年、そこで頑張って下さい。


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