16歳と30歳


 去年ツーリングに行った帰り道、俺一人だけ帰りの方向が違ったので仲間と別れてから30km位一人で帰ったんですよ。

その時にね、ガソリンスタンドに寄ったんです。
ちょっと疲れていたから給油した後そこの休憩所で休憩を取りました。
ちょっと寒くてお腹も空いちゃったからクロワッサンとカフェオレを食べていたんです。

その時、外に置いた夕陽に染まるVRXを見た時にね、思いがけず10代の頃の自分に会ったんです。

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 16歳の時、夜中の2時に店を閉めてオーナーに売り上げを渡しに行ってから、プラッと職場から福岡の祖母の家まで原付(NS-1)でバイーンって行った事があるんです。往復300km位ですw
原付だから勿論高速なんて乗れません。
平日の夜で、国道3号線はガラガラでした。山の中の国道を走っていると、先の方にちょっと大きなバイクが走ってるのが見えてきたんです。で、当然追っかけました。
原付とは言っても、リミッターカットだけで100km/hはでてしまうようなバイクでしたので、普通に走ってるバイクに追いつくの位はたいしたことではないんです。しかし向こうはのんびり走ってるつもりでもこっちはそこそこ必死なんですよw

30分くらい走ったんですが、楽しかったんですね。14年経った今でも覚えているくらいだから。
すると前を走るバイクがガソリンスタンドに入ったんです。で、俺も一緒に入りました。ちょっと寒かったし、トイレにも行きたかったし、まぁそんなもんは建前で正直言うとその人と喋りたかったんですよw

「えぇ!これ原付なの?おっきいねぇ」

って言われたのはよく覚えています。俺が乗ってたNS-1はバイク知らない人には原付には見えない大きなバイクだったんです。
俺の前をずっと走っていたのはバンディット250リミテッドという250ccのバイクでした。乗っていたのは20代前半くらいのお兄さんでした。

 そのガソリンスタンドは今でこそよくありますが、当時はなかなかなかったパン屋さんみたいなのが一緒についているガソリンスタンドだったんですが、お兄さんはそこで俺にクロワッサンとカフェオレを奢ってくれました。
仕事終わってからそのまま出てきてしまったので結構お腹空いていたし、寒かったから温かいカフェオレがすげぇ美味しかったんです。美味しかったって言うよりなんか幸せだったんですよ。

 朝焼けが2台のバイクを照らしているのを二人でぼんやりと見ながら、よく覚えてないけど色々喋ってから30分くらいでそこでお別れしました。




 ここで話は現代に戻りますが、ツーリングの帰りに偶然同じようなガソリンスタンドで同じようなものを食いながら、朝焼けではないけど夕焼けに染まる自分のバイクを見た時に、あの16歳の時の感情や記憶がブワッとよみがえってきたんです。
あれから何回も何年もバイクに乗っていますが、こんなん初めてでビックリしました。多分疲れ具合も腹の減り具合もちょうど似たような感じだったんでしょうね。

16歳の時の俺。
九州にいる事に違和感を感じ始めていてた俺。
周りの16歳とは全く違う16歳だった俺。
自分が病気にかかるなんて夢にも思ってなかった俺。
将来に何一つ不安がなかった俺。

30歳の俺は16歳の俺と唐突に向き合いました。

あの頃とは何もかもが違う。

欲しい物は全部手にいれようと思っていた16歳は、欲しい物を全部手に入れた30歳になりました。
でも、代わりに失うという事も理解できるようになりました。

 あの頃なりたかった大人ってどんなんだったっけなぁ。もう全然思い出せないです。だけど、俺はまだバイクに乗ってるし多分これからも乗るんでしょうね。
そしてまたいつかどっかでいつかの自分と向き合うんでしょう。思い出そうと思って思い出せる想い出と、そうじゃない想い出がある。

 30歳になってまた一つバイクの楽しみ方を覚えました。

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